saddleの記録

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自転車に乗ってどこかに行った記録やその他いろんな記録を残します

【冬北海道自転車ツーリング】準備・計画編その2 スパイクタイヤ自作

冬の北海道ツーリングに向けてスパイクタイヤを自作しました.それに関する記録を残します.

《製作背景》

北海道に限らず,冬に雪国をツーリングするとなると道路の凍結が心配されます.しかし雪国の道路がすべて凍結しているというわけではなく,圧雪路の場合はブロックタイヤでも十分走ることができます.しかし,北海道は全域において凍結路が予想されるため,スパイクタイヤが必要になってきます.

スパイクタイヤは,安くてもペアで1.2万,高いとペアで3万円を超えたりします.また,入手性が低い傾向にあり,雪が降らない地域に住む人は通販に頼らざるを得ません.そして金額的に学生にとっては大きな買い物であり,ここにひとつの冬の北海道ツーリングに対する障壁が存在します.

そこで,スパイクタイヤを身近なもので自作して使用できることを立証できれば,この障壁を取り除くことができ,より多くの人が冬の北海道をはじめ,北国ツーリングに取り掛かりやすくなると考え,人柱となることにしました.

《製作方法》

材料は次に示す通りです.

タイヤ:Panaracer Cross Blaster

31Cとかいう中途半端なサイズです.1本3,000円程度で入手できます.

 

 

ネジ:トラス頭タッピングねじ 寸法3X6

チューブを少しでも傷つけないような,トラス頭を選びました.サイズはブロックタイヤのノブの厚さ+2mm程度を目安に購入しました.

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▲イメージ

保護テープ:床のキズ防止テープ

チューブからネジの頭を保護するためのものです.

 

seiei 床のキズ防止テープ

seiei 床のキズ防止テープ

 

 道具:キリ

タイヤのノブにネジを通す穴を開ける用

《製作方法》

まず,ブロックタイヤのノブにキリで穴を開けます.貫通さえしてしまえばOKです.

穴を開けたらタイヤの裏からネジを打っていきます.果てしない作業ですが頑張りました.

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▲表から

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▲裏から

どの程度の間隔でうつかは既製品を参考にしました.また,タイヤのセンターのノブに打つものと打たないものの2パターン製作しました.

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▲センターにうたないパターン

打ち終わったらテープを適当な大きさに切ってひとつひとつ貼っていきます.これも果てしない作業

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▲テープは正方形くらいでちょうどいい

これで完成です.あとはチューブを入れて実際にリムにはめてみます

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スパイクタイヤになりました

一番の失敗は,性能試験を全くせずに北海道で実戦登用したことです.

《パフォーマンス》

・凍結路上の走行

全く問題ありません.しっかり路面に刺さって滑ることはありませんでした.落車は7日間で1回のみです.2パターンのタイヤともに大丈夫でした.

・ネジの摩耗

ネジは確かに摩耗していきましたが,1日平均60㎞を4日こなしても,凍結路上での性能が落ちることはありませんでした.むしろ最初が尖りすぎなので,ちょうどいいくらいになったという印象です.

・チューブの保護

これは完全にダメでした.4日間でチューブを8本消費しました.フル積載しているタイヤを中心に,前半は1日1回,後半は1日3回ペースでパンクしました.

パンクをするとチューブにネジの数だけ無数の穴があくので,修復が不可能となります.コスパが非常に悪いです.

4日目は,コンビニでガムテープを買ってタイヤの裏側に3重に貼りましたが,効果は見られませんでした.

《結論》

ツーリングにこの方法の自作スパイクタイヤは使用不能.結局スパイクタイヤを買うよりお金がかかりました.またひとつ知見を得ました.

ただし,改善点としてキズ防止テープの代わりに家具固定用のゲルを使用したらいけるんじゃないかと思いました.誰か検証して報告してくれるとうれしいです.

今回はフル積載のツーリングに使用しましたが,そんなに負荷がかからない街乗りには使用できるのか,それについても検証が必要です.

《その後》

シュワルベのウィンターを購入しました.非常に良いパフォーマンスを発揮しています.

スパイクタイヤとなったCrossBlasterはネジをすべて引っこ抜いて,ブロックタイヤとして,グラベルの走行やシクロクロスに使用しています.ノブに穴が開いていますが,非常に小さいので問題なさそうです.

 

次は実際のツーリング記録を記事にします.

 

【冬北海道自転車ツーリング】準備・計画編その1

2016年の2月下旬に自転車で北海道にツーリングに行きました.その記録をいくつかの記事に分けて書きます.今回は準備と計画その1です.

 

2015年12月上旬,学部4年生だった自分は研究室で卒論と実験に追われていて心身ともに疲弊しきっていました.そういうときは,正常な思考ができないのか,なぜかバカなことをやりたくなってしまう傾向にあります.

このとき,冬の北海道を野宿しながら自転車で走りたいと思いつきました.しかし,ひとりでは不安なので,部活のある先輩に夜「2月に自転車で北海道行きませんか」と誘ってみたところ「いいよ」と快諾していただきました.

それから1週間後,中部から新千歳までの往復の航空券(SKYMARK)を押さえ,北海道行きが決まりました.思い立ってから航空券押さえるまで9日程度です.行程は6泊7日です.

平日の中部-新千歳便は,早めに予約すればLCCで片道7,000円程度で済みます(雪まつりシーズンを除く).新幹線で東京に行くより安いです.これに自転車手荷物料2,000円がかかりました.SKYMARKは品目によらず重さで決まります.なのでなぜか帰りは重くなり,3,000円かかりました.

ウェアは基本以下のような感じで走りました.気温は0℃~-17℃程度

・上

モンベル ジオライン中厚手

Tシャツ

ユニクロのフリース

ユニクロのウルトラライトダウン(下り)

Columbia omni-heat

・下

モンベル ジオライン中厚手

短パン

高校のサッカー部のときのミズノのウィンドブレーカ

・靴下

モンベル アルパインモデル

・靴

モンベルの冬登山向けモデル(名前忘れました,確か廃盤)

・その他

スキー用グローブ(走り始め,下り)

秋冬用グローブ(登り)

ネックウォーマー

ニット帽

 

当時はお金がなかったので,ユニクロや持っていたもので補っていましたが,ダウンやフリース,ウィンドブレーカーはお金があるならちゃんとしたものを買ったほうが,高機能で携帯性が上がるのでいいと思います.また,グローブは自分はこれで大丈夫でしたが,先輩は自分よりいいの使っていたけど指先冷えて大変そうでした.あくまで参考にしてください.

Columbiaのomni-heatもミズノのウィンドブレーカも防水ではありませんが,低温すぎて雪が水にならないため問題ありませんでした.ただし,気温が1℃を超えてくると防水または撥水性能は必要かもしれません.

持ち物は普段のツーリング装備に加えて特筆すべきものは以下の通り

モンベルシュラフ#1

・駅前アルプス シュラフカバー

・温度計

 

最低で-17℃環境下で野宿しましたが,冬シュラフは#1でも性能不足な気がしました.初日はほとんど寝れず,2日目以降は体が慣れたのか,疲れていたのか割と眠れました.着込めば大丈夫なのかもしれません.

シュラフカバーはおそらく機能していません.不要でした.

温度計はあると楽しいです.

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↑フロントバッグにつけてそのときの気温を見れると楽しい

あればよかったものは以下の通り

・魔法瓶

・アクションカム

氷点下だとあらゆる水分が凍ります.もちろんボトルゲージに飲み物をさしておくのは不可能です.なので万が一すべての補給の水分が凍結しても大丈夫なように魔法瓶に水を入れて持っておくと安心だと思います.

アクションカムは全面凍結して光っている峠の下りとかで使えばよかったかなと思いました.

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↑保温が甘くて完全に凍った2Lの水

 

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↑実際の装備

思ったほど持ち物は普段のツーリングと変わりありませんでした.ウェアとシュラフだけ冬仕様にすればいいのかなと思います.ただし,ウェアが多いので非常にかさばります.

 

次のその2では自作スパイクタイヤについて書きます.

【自転車で冬の青函】2015/2/28-3/1 函館散策・北斗星輪行

大間からフェリーに乗って90分,15:40函館港に到着しました.冬の北海道ということですこし身構えていましたが,函館だと雪も全然なくて暖かかったです,グローブしないと手は寒くて痛いですが.

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▲函館港.ほとんど雪がない

まず北海道上陸して向かったのは五稜郭駅です.実は直後の2015年3月のダイヤ改正で廃止となってしまう北斗星に乗りたくて,空席を調べてもらいに行きました.人気の寝台列車な上、廃止直前ということもあり、いつも満席なのでほぼダメ元で行きました.

これはかつてのバイト先の先輩に教えてもらったのですが,こういった人気の寝台列車や観光列車は,あらかじめ旅行会社が一定数席を押さえておくそうです.しかし,旅行会社がその席を売り切ることができないと,直前に払い戻しを行ってキャンセルが発生し,空席が出ることがあるそうです.いわゆる「10時打ち」でダメでもチャンスはあるのです.

実際その話を聞いて覚えていたので駅で確認してもらったところ,開放B寝台が1席空席がありました.駅員さんも事情をわかっていたのか,こちらが購入すると言う前に発券していました.学割を使ってだいたい24,000円くらいです.運が良かったの一言に尽きます.あと五稜郭駅の駅員さんすごく優しかったです.

函館駅21:49発までまだ時間があるので函館散策することにしました.まず銭湯.弥生湯というところです.普通の古き良き銭湯でした.お湯がけっこう熱くて全然入ってられなかったです.

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▲弥生湯.駐輪場はありません.

それから赤レンガ倉庫に行きました.夜景がきれいで夏に来るとカップルであふれかえっているのですが、シーズンじゃないこともあって全然いませんでした.

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▲赤レンガ倉庫.閑散としています.

それからラッキーピエロハンバーガーです.チャイニーズチキンバーガーのセットとラッキーチーズバーガー?を食べました.ボリュームがあるのでこれだけで満腹です.ハンバーガーも美味しいですが,個人的にはポテトがおすすめです.すごく美味しいので函館に寄ったらぜひ食べてみてください.

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▲ポテトがとてもおいしい

21時ごろ函館駅に戻り,駅前で輪行状態にして,いざ駅に入るとこのような表示が出ていました.

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167分遅れ,3時間弱の遅れで運行しているそうです.乗る予定の列車が大幅に遅れるのは初めての経験です.どうやら前日の強風の影響で下り列車の到着が遅れそれを引きずっているらしいとのことでした.しかし3時間も駅で待っているわけにもいきません.ラッキーピエロは深夜まで営業していますが,そのほかの施設は全部閉まっています.結局,函館市電に乗って函館山の麓の周辺を散歩することにしました.もう全然街には人がいないくて、観光地とは思えないほど静まり返っていました.

函館駅に戻っていよいよ北斗星に乗ります.0:25に北斗星函館駅に到着しました.

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北斗星に乗るのは10年ぶりです.遅れているのでさっさと機関車の付け替え作業を済ませてすぐに出発しました.寝台は開放のB寝台で,簡単に言えば相部屋,ドミトリーです.自分は上の段でした.

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▲下段は切符は売れているのになぜか不在でした

自転車は車掌さんと相談してドア付近の手すりに固定しました.長時間自転車から離れたところにいるので,振動等で倒れないようにしなければなりません.輪行袋袋を使って手すりにしっかり固定しました.これは昨年のサンライズ瀬戸輪行でも同じでした.この手の列車で輪行する際は,車掌さんに一言相談するのがいいと思います.

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▲自転車固定の様子

青函トンネルを抜けて本州に戻ってくると,だいぶ雪がありました.この季節は西風なので,やはり下北半島よりも津軽半島の方が雪は多いようです.時間も遅かったので青森に入ってすぐ寝ました.

翌朝7時ごろ車掌のアナウンスで目覚めました.まだ岩手県の一ノ関付近だそうです.基本は普通列車の少ない時間に通過する区間を,もう多く走っている時間に通過することになるので,前後を走る普通列車の間を縫って走らなければならず,遅れは段々と増大していきました.雨にもかかわらず沿線にはカメラを構えた人たちがたくさんいました.

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▲ホクトセイスゴクカタイアイス

なお,自分の寝台は列車の一番うしろだったので,車内販売が一番最後で食べ物類が何も残っておらず,朝飯用にセイコーマートで買った菓子パン2つで上野までしのぐことになりました.

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▲二本松付近

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▲大宮駅.後ろの時計と比較してください.

結局3時間50分遅れで終点上野に到着しました.時刻は14時でお昼を回っていました.まあ時間はあったし別に気にしていません.むしろ廃止直前に乗れた上に大幅遅れという貴重な経験ができたんじゃないでしょうか.

寝台列車輪行,自転車ツーリストには輪行と宿泊が同時にできるかなり優良な手段だと思います.ムーンライトみたいな夜行快速と違ってかなり快適に過ごせてしっかり休息もできます.さらに,到着後朝からしっかり走れるのも大きなメリットでしょう.しかし,北斗星をはじめとする夜行列車はもうほとんど残っていないので活用の幅は狭いです.サンライズ(東京~高松・出雲市)は比較的安価で利用しやすいと思うので,一度検討してみてはいかがでしょうか.

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冬の青函ツーリングは以上で完結です.

【自転車で冬の青函】2015/2/27-28 下北半島ツーリング

もう3年も前の話になってしまいますが,冬に自転車で青森県下北半島に行きました.単純に冬の東北は美しいイメージがあって,下北半島は最北の果てということで,大間崎を目指すことにしました.

自転車と装備はこんな感じです.

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apiduraのサドルバッグのCompact11Lとdeuterの30Lのバックパックの計41Lです。サドルバッグの外側に輪行袋がつくのがすごく助かりました.タイヤはPanaracerのCrossBlasterを使用しました.

2/24にまず名古屋から太平洋フェリーで仙台へ向かいます.夏のフェリーターミナルは旅行客で混雑していますが,冬の時期は非常に閑散としていて静かでした.自転車オートバイの積み込みも自分ともうひとりだけでした.フェリーも非常にすいていて、2等船室丸々空室、なんてところもあるくらいです。あと冬なのでフェリーの展望デッキがすごく寒いです.早割を使ってB寝台利用で5,000円程度でした.

翌日仙台に到着後,東北大学サイクリング部の部室に泊めていただきました.いつもありがとうございます.

仙台に2泊し,2/27朝に青森へ向かいます.新幹線と青い森鉄道を乗り継いで野辺地駅まで輪行しました.

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野辺地駅には北海道方面という表記がありましたが,この駅から北海道へ直通する列車はもうありません.

野辺地からむつ市に向けてR279を北上しました.ひたすら単調な道が続きます.陸奥湾の海沿いを走っているのですが、防風林と防風パネルで海は全然見えません.普段なら邪魔だと思いますが,この日は西風がすごく強く,この防風林と防風パネルがありがたかったです.海どころではありません.

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▲R279 気温が1℃くらいあってやや雨っぽい雪が降った

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大湊線の線路が国道と並走します.こちらも乗ったら気持ちいいローカル線なのでしょう

この日の夜はむつ市の赤川駅近くのB&B Muuというゲストハウスに泊まりました.シーズンじゃないこともあってこの日の宿泊客は自分ひとりでした.

翌28日

大間崎に向けてひたすら走る日.天気も最高で絶好のサイクリング日和でした(ただし向かい風).朝8時ごろの気温は1℃程度でそんなに寒くありません.フェリーが14時10分出港なので時間制限付きですが,50kmなので割と余裕ありました.

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▲冬の恐山

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▲積雪はほとんどありません

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▲対岸の北海道までくっきり見えました

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▲実現するのだろうか

12:30頃ついに大間崎に到着.終始最高の天気でした.大間崎周辺にはある程度町なのですが,全然人がいなくて静かでした.海の音とカモメの声だけが聞こえるような静かな町で,すごく魅力的でした.オフシーズンに行くことで本来の町の姿を感じることができます.

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▲北海道と大間崎灯台

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▲まぐろ丼(3,000円).大トロは売り切れでした.

この冬の時期の大間もすごく良いと思いました.特に冠雪した山々と津軽海峡越しの北海道.年によって変動はありますが,冬季は西風によって津軽半島に雪が積もって下北半島はそんなに積雪はないそうです.自転車で冬の東北を感じたい人にはハードルが低く行きやすいと感じました.

このあとフェリーで函館に渡ります.函館以降のことは次の記事に書きます.